Please wait until thick shadows come.
DQ6メインのDQ雑多ブログ
久々に
2010.05.30 (Sun) | Category : DQ6:ss
放置しててすみませんでした・・・。レポとかサークルの短編とかバイトの面接とか色々終わったのでちょっと乱文置いておきます。
ダークドレアム×6主です。
絢爛豪華な部屋だった。重厚な作りの天蓋付きのベッド、細やかなデザインのされたカーテン、部屋の中にある家具はどれも王侯貴族の使いそうな、否、それ以上に値段の張りそうなものばかりだ。
その重そうな椅子に体を預け、じっと正面に目を向ける。何も無い部屋なのだけれど、そこから目を離してはいけない、と本能が悟っていた。部屋は全面が黒い漆塗りでシャンデリアの灯す明かりでてらてらと艶かしく光っていた。この部屋に扉はなく、鉄格子の嵌められた窓だけが四面に一つずつ設置されている。まるで牢獄だ。
ぎちぎちと音を立てて、部屋の片隅に設置されてある鏡が歯を鳴らした。悪魔の鏡だ。魔物とは縁の無いと思われるこの部屋の持ち主にも関係のある魔物はあったらしい。
「酒でも飲むか」
唐突に、煙のように正面に男が現れた。浅黒い肌をした黒い無骨な、しかし品のある鎧を身に纏った大悪魔だ。レックは目の前の強大な存在を目にしても、力をなくした人形のようにソファに沈み込んだまま、小さく首を振った。
「なんだ、疲れてるのか? それとも怯えているのか?」
「怯えてはいない。疲れた、というのが、正しいな。どちらかというと。…この部屋は息が詰まる」
「それはいい。お前はそこらの人間と違い臆することが無い。私はそれを買っている」
ぱちん、と大悪魔が指を鳴らせば、夜色の煙がどこからか吹き込み、レックと大悪魔の間に黒く美しいテーブルを作った。扉も無いというのにどこからか仮面をつけた執事が現れ、高そうなボトルからなみなみとワインをグラスに注ぎ、レックと大悪魔の前へと推す。そして音も立てず、その執事さえどこかへ消えた。
「鏡が気になるか」
「魔物なんて下等な生き物に興味はないんじゃなかったのか」
「あれは元々私達悪魔の家具だ。魔物ではない」
大悪魔は洗練された滑らかな動作で赤ワインを飲む。こう視ると人の生き血を飲むヴァンパイアだな、とレックは思った。
「そんなに鏡が気になるのならお前を映してやろうか。あれは人の本性を映し出し虜にするのが得意だ。お前もまた、夢の世界とやらに現をぬかして、腑抜けになるかもしれんな。それを視るのもまた楽しそうだ」
「そういうのはいらない」
「なんだ、今日はいつにも増してやる気が無いな」
ふん、と大悪魔は鼻を鳴らした。レックが瞬きをした間に、いつの間にか目の前のテーブルとグラスは掻き消え、再びレックと大悪魔の間に物はなくなる。早くこの夢が覚めればいい、とレックは思いながら、ゆったりと立ち上がる目の前の男を見上げた。
「まぁいいだろう。お前の気分がどうだろうが私には大して関係はない。私が欲しいのはお前の魂の輝きだ。さぁ立ち上がり剣を手に持て。私の遊びに付き合ってもらおう」
「ダークドレアム…」
レックはようやく身を起こし、いつの間にか召還された伝説の剣を手に取った。邪悪なものを察知して戦いに飢える剣を力ずくで押さえ込みながら、レックは目の前の男を睨む。
「そう睨むな。お前をここに捕まえるのも夢の中だけに留めている私の善意を推し量れ。私はこれでもお前を愛しているのだぞ」
「ああ・・・分かった。いいよ」
シャン、と美しい音を立てて振われる刃の軌跡ににやりと口を緩ませて、大悪魔は緩やかにレックを誘う。今夜も行なわれる命を削りあうダンスに。
すごくポエムっぽいオチに。肩痛い。
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