Please wait until thick shadows come.
DQ6メインのDQ雑多ブログ
おにーちゃん
2009.12.16 (Wed) | Category : DQ6:ss
を拾った。
どうでもいいですけれども夢の世界の6主の一人称が「俺」だったらいいなぁと勝手に思っています。ただ単に私が男前が好きなだけという理由もありますが、現実世界の6主の夢から生まれた夢の世界の6主ってことで、6主の憧れる「平凡でどこにでも当たり前に居る青年」として、ランドをお手本にしてたら面白いなぁと思いまして。
夢の世界の6主は所々ちゃんとした王子としての威厳だとか上品さを持ってるとそれはそれで燃えるのですが、ランドのようなどこか馬鹿な感じのやんちゃな部分をコピーしていたらいいなぁと思いました。
でもまぁ現実世界の6主はそんな器用な男じゃないと思うので、現実世界の方は「僕」で。
合体後は基本「俺」にしているけれども何かとボロが出ると「僕」になるといいなぁーと思ってました。
あとはハッサンに出会った直後とかに「はぁ?僕ぅ?お前そんなんで自分のこと呼んでたら旅先でカモにされたり見くびられるぜ?人前で喋るときはなるべく俺って言え!」とか言われたとかそういうのでも良いと思います。
まぁ何が言いたいかと言うと、ちょっと混乱した時とかに「僕は・・・っ!」とか言って初めて聞いた人に「僕?」と重複されて「あっ・・・!」と戸惑う6主が見たいだけです。(最初からそう言え
そんなわけで折りたたみでターニアと6主。出会いと違和感の繋がる夢世界。
亡くなった母の形見のブローチが手から離れて行った瞬間、一度心臓が止まってしまったかと思った。一人きりで過ごすようになって、村の人達は随分と優しく接してくれるけれど、どうしても胸にぽっかりと空いた空洞が苦しくてたまらない。そんな時は母が手作りで作っていた木彫りのブローチを眺めて時間を過ごした。その時だけが、唯一一人じゃないと思える時間だったからだ。私の生活を支えてくれているのは、その小さなブローチ一つだけだったのだ。
そんな大切なブローチを、どうして外で取り出してしまったのだろう、と愕然とした。織物の仕事に疲れて一度外の空気を吸いに出てきて、ふとポケットに入れたままだったブローチを取り出した瞬間、疲れのせいで力が入らなかったのか、指からぽとりと零れ落ちてしまった。丁度真下にあった石にぶつかって、かつん、と高い音を立てて、あっという間にそれはどこかに見失ってしまう。
悲鳴を上げる暇も無く、音も立てずにそれはどこかへ行ってしまった。驚きと恐怖で足がすくんで、世界に一人取り残されたような気持ちになる。周りを見回してもどこにもない。
「えっ・・・・うっ、嘘・・・!嘘!」
地面にしゃがみこんで、短い草を掻き分け母のブローチを探す。すぐ近くに茂みがあったけれど、その向こうは小さな崖になっている。まさか、そんな隙間を通って崖から落ちたのだろうか、と考えに辿りついた時には、もう私の体は走り出していた。
魔物が出る場所まで落ちていたら、と想像もしたくない可能性が見えてきて、ぽろぽろと涙が零れてきた。あれがなかったら私はこれからどうやって生きていけばいいかも分からない。どうして私ばかりがこんな目に。
「ううっ、ううう」
手にかすり傷が無数にできるけれど、それすら今は気にならなかった。さっき自分が立っていた丁度真下にあたる場所へたどり着き、生い茂った葉や木の枝を掻き分けていると、ふと、近くの茂みから足が突き出ているのが見えた。
「・・・・・ひっ?!」
人の足だ、と思う反面、いや、何故こんな所に、靴だけじゃないのか、とも思う。でも黒いブーツは白い包帯の巻かれている足に嵌められていた。
恐る恐るその先を見てみようと身を乗り出すと、倒れている人の頭に近寄っていた鳥がバサバサと強く羽ばたいて飛んでいってしまった。キャ、と甲高い悲鳴を上げてしまうと、それに返事をするように、一度だけか細い呻き声が聴こえてきた。
「あ・・・」
生きている人だ、と思って近寄れば、そこには私よりも2,3歳年上らしい男の人が倒れていた。これといって怪我はないようだったけれど、顔色は物凄く悪くて、悪夢にでも魘されているようだった。
「ぐっ・・・・ぁ、あっ!」
突然、ばっと身を起こし、荒い呼吸を吐きながら男の人は目を覚ました。汗びっしょりで、凄く苦しそうな顔をしている。格好を見るからに旅の人のようだけれど、もしかしてこんな所で野宿でもしていたんだろうか。すぐ近くに村があるのに。
「あの・・・」
「・・・・・っ?!ひっ・・・」
その人は私を見た瞬間身を竦めて明らかに怯えた表情を見せた。でも少しして落ち着いたのか、あ、と呆然とした声を零して、私をじろじろと見つめた。そして辺りを一度見回すと、数秒固まった後、ははは、と乾いた笑い声を上げた。
「はは、ははははは、あはははは!」
「あ、あの、大丈夫・・・ですか?」
「ああ、いや、すまない。驚かせてしまって。・・・そうか、僕は・・・」
男の人は自嘲するような笑みを口に浮かべて、ふらふらと立ち上がり、すまなかった、と謝って立ち去ろうとした。私はその背中を呆然と見ていたけれど、気が付いたら男の人の腕を掴んでその背を引きとめていた。
何をしているのだろう、と思っているのに、口はまったく違うことを喋ってしまう。
「たっ、旅の人ですよね?私の家で休んでいきませんか?何も無い家ですけど、是非!」
「いや、その・・・」
「何か用事でもあるんですか?」
男の人は私の顔を見て、苦しそうに眉間に皺を寄せて、何か、誰かの名前を呼ぶようなまねをした。そして首を横に振り、いいや、と呟く。
「・・・実は僕は、・・・今までの記憶が無いんだ。気が付いたらここにいて、・・・迷惑をかけると思うから、すぐにここを出て行くよ。・・・できればここがどこか教えてくれないか」
「ここはライフコッドです。じゃあ、何か思い出すまで、私と一緒に暮らしてくれませんか?」
何を言っているのだろう。私はそう思っているのに、口が私と切り離されたように勝手なことを喋る。男の人もぽかん、と私を見下ろし、「本気で言っているのかい?」と優しく聞いた。
「突然会った見ず知らずの男を家に泊めようなんて正気の沙汰とは思えないな。君は自分の安全について考えないのか?僕の言った事が全部嘘かもしれないだろ?お父さんやお母さんはどうする?」
「お父さんとお母さんはいません」
「・・・それは・・・・・・・・それこそ、なおさらだ」
「私は貴方の言ったことを信じます。それとも、貴方は両親を亡くして傷心の娘を手篭めにするような悪人なんですか?私はそうは思えません。嘘を吐くならもっと上手くやるはずだし、それ以上に私を襲うなら今すぐやるはずです」
「君は」
「ターニアといいます」
男の人は私をじっと見つめた。私も静かに彼の眼を見返す。私は内心戸惑っていたけれど、どこか深い、静かな部分はまるで風の吹かない日の湖の水面のように穏やかだった。不思議な気分だった。男の人は黒い黒檀の瞳をしていて、きっといろんな人から愛されたのだろう、と思えた。優しい色をしていた。
「僕は・・・僕はレックと言うんだ」
「レック、レックさん」
それでも、レックさんの目の奥には深い恐怖の色が焼きついていた。目の前にいる私のことすら怯えているようで、私は心臓がどくどくと高鳴るのを感じていた。この人はきっと、何か特別な人だ、と感じていた。きっと大変なことが起きるかもしれない、とも思った。でも、それでも私はこの人を引きとめなければいけないと思った。この人を助けなければいけない。何か大切な使命のようなものさえ感じていた。
「じゃあ、ついてきてください。案内します」
「ありがとう・・・・?ん」
ふと、レックさんはしゃがみこんで、何かを拾い上げた。私が無くした母のブローチだった。
ごんっ、と痛そうな音を立ててお兄ちゃんがベッドから落ちた。肩を竦めて持っていたカップからお茶を零すのは防げたけれど、慌ててテーブルにカップを置いたらやっぱり零してしまった。それよりも心配なのはお兄ちゃんで、くるりと振り向けば、自分のベッドから落ちたお兄ちゃんがずるずるとシーツごと床に落ちてくところだった。
「お兄ちゃん・・・」
生まれてこのかたずっと暮らしてきたお兄ちゃんだけど、寝相の悪さはどうにも直らないみたいだ。まだ寝ぼけ眼で、床に座り込んだまま、うう、と小さく呻き声を上げている。
「大丈夫?」
「んー」
大きく欠伸をして、お兄ちゃんはのろのろと立ち上がる。シーツをベッドの上に戻して、体を捻って軽く体を動かしてから、くるりと振り向いて私に笑いかける。
「おはよう、ターニア」
「おはよう、お兄ちゃん」
そして変わらない平安な毎日が始まる。
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