Please wait until thick shadows come.
DQ6メインのDQ雑多ブログ
微妙な反応してしまったけれど
2009.12.18 (Fri) | Category : DQ6:ss
両思いでも片思いでもどっちでも構わないけれどバーバラが恋する女の子だって事実だけでお腹いっぱいです。私の絵だとそうでもないけどバーバラ可愛いよバーバラ!!
絵とは真逆ですが折りたたみでテリ主。っていうかテリ→主。ヘルクラウド城にて嫉妬の嵐とかそういうの。戦闘に入るところぐらいまで書ければ上々。
出ろ、と一言、どこか遠い所で錠の落ちる音がした。手に持った刃はいつからあったのか、今はもう思い出せなかった。
ふわふわと空中を歩いているような感覚。まるで自分の体重が無いような錯覚。幸福感で包まれた体が外気に触れて、思わず震え上がった。玉座に座る王者の視線を受けて、今日もくだらない闘いに身を投じるわけだ。俺の強さを見せ付けるために。さて、俺は何故こんなことをしているのだろう、何のためにこんなことをしているのだろう、強い剣を手に入れたかったのは何のためだっただろう。強くなりたかったからだ。強くなりたくて魔王の軍門に下った。何のために?強くなりたかったから。強くなりたかったから、姉さんを攫った魔物の仲間になった。何のために?何のために?何のために?
だから、つよくなりたかったからだ。
なぜ、つよくなりたかったのか。
よく、思い出せない。
息を吸い、息を吐き、まるで当然の義務のように刃を構え、テリーは目の前にいる人間を見下ろした。今日の来訪者は珍しく、本物の人間だ。頭数は5つ。皆それなりに鍛えられ、場慣れしている風である。一人の女が小さく喘ぎ、みるみるうちに顔を歪め、今にも泣きそうになった。そんなものに目をくれている暇は無い。既に先頭の男は剣を抜いていた。悪魔に魂を売り渡し、今や魔物の軍勢の末端となったテリーが見ても、一瞬見蕩れるほどの美しい刀身だった。テリーはその剣を知っていた。一度見たことがあった。テリーが欲しくて欲しくて堪らなかった、世界で最も強い剣。古の英雄の刃。神の寵愛を受けた武器。ラミアスの剣。
その持ち主も見たことがあった。テリーより少し背の高い、凡庸な田舎出の少年のようでありながら、精悍な顔つきをした不思議な空気を持った男だった。蒼い色をした髪の毛が、風を受けて揺れる。それでもしっかりとテリーを見定めた黒い二つの眼球がぶれることはない。確かに顔を何度か見たことのある男が、まさか魔王の手駒と化しているのを見て動揺はしているらしいが、その構えには一瞬の隙も見えない。テリーは笑った。なんという運命、なんという好機!神に愛された選ばれし男を、まさかこの手で殺せる日が来ようとは!
手に握り締めた刃が血を求めて疼いた。指が痙攣している。びりびりと肌を裂くのは男の気迫か、それとも武者震いだろうか?
「レック、ミレーユが・・・!」
「バーバラはミレーユを連れて下がってくれ。ハッサンはバーバラとミレーユを守って待機。チャモロもできれば手を出すな」
嗚咽を上げて泣き崩れた女を庇い、男はテリーから目を離さないまま仲間達に命令を出す。黄色い法衣を着た少年だけが男の背後で武器を構えたまま控え、まるでテリーと男の一騎打ちを演出するかのようになった。
「さぁ、見せてくれ・・・」
魔王の言葉を聞いて、テリーは階段を下った。見せてくれというのはこちらの台詞だった。目の前の男へと一歩一歩近づくたび、湧き上がる歓喜の声を抑えられない。
さぁ見せてくれ。そのご自慢の剣技を。いくつもの魔物の屍骸を築き上げてきた勇者さまの豪腕を。神に選ばれた強者の意地を。さぁ見せろ。惨めに這い蹲って俺に命乞いをしろ。剣を砕いて絶望の声を上げろ。神に選ばれたことを憎む程、嫌というほど痛めつけてやる。俺を選ばなかった神を唾棄しろ。さぁ、さぁ、さぁ!
「さぁ、始めようぜぇ・・・・楽しい楽しい殺し合いをよおォ!!」
「来い!その面ぶん殴って目ぇ覚まさせてやる!」
刃の光を受けて輝く眼球を嘲笑い、俺は飛び出した。男の咆哮が響く。俺の笑い声がそれを追った。夢のような殺し合いが、幕を開ける。神はおろか魔王ですら、もはや俺達を止められはしない。
趣味です。
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