Please wait until thick shadows come.
お試しプレイ
2009.12.03 (Thu) | Category : DQ6:ss
元がゲームを書いたのはDODぐらいなんでどうなるかわかりません。
まぁ練習あるのみ・・・!
後でDQ主人公メンバーの設定メモとか書いておきます。
ここの主人公は原作に忠実を目指してます。ゲームの方のね!
とりあえずテリ主 風味 を 目指してみる
「あ、すみませ、」
「なぁなぁ兄ちゃん剣の使い方教えてよ!」
突然服に何かが引っかかったと思って身を翻し、謝罪の言葉を言おうとすると、無邪気な少年の声がレックの発しようとした声に被った。
昼ご飯の買出しでごったがえす街道で、買い物をする女性が今日の目玉商品を宣伝する店屋の主人に捕まっている。そんな人の流れをすり抜けて、一人買出しを済ませて宿に帰ろうとするレックの橙色の衣を、素早く掴んだ子供が居たのだ。
無論、顔見知りではない。この近くに住む少年だと思われる、この地域の特徴ある衣服を着ている。少年は片手に木の棒切れを持っていて、大きな目をじいっとレックの顔に向けている。唇はきゅっと引き締められ、どきどきと高鳴る心臓の音が、指先を伝ってレックに伝わりそうなほどであった。
「剣の使い方?」
「旅してるんだろ?兄ちゃん、昨日何人か人と一緒に、うちの宿屋に来たよな?」
そのとき、剣しょってんの見た!と少年は目を輝かせながら言う。その姿はまるで何も知らなかった頃の自分が、お城の兵士を憧れの目で見ていたのと同じだ。刃が一体、何のために振るわれるべきなのか、それすら決められなかった頃、純粋に強い人間に憧れていたのと酷似している。
「なぁ、だから、俺に剣教えてくれよ!俺強くなって悪い魔物を倒したいんだ!」
「って言われてもなぁ・・・」
困った、と口の中で呟く。元の記憶が戻ったとはいえ、レックの剣技は人に教えられるようなものではない。レイドックの王宮兵士の型が元だが、半分以上、この長い旅の中で自然と身についた野性的な動きでレックの剣は魔物を討つ。
それ以前に、魔物はこのような幼い子供が一朝一夕で身に着けた剣技が通用するほど弱くは無い。ちゃんとした武器がないことも見て分かるほどだ。なんとか傷つけないように諦めさせるのが一番良いのだが、少年のまっすぐな視線を正面から受けて、レックはどう言おうか反応に困り、流れに流されないように気を配りながら思考をめぐらした。
「母さんは危ないことさせれないって行って、道場にも通わせてくれないし、喧嘩なんてのは嫌だ。俺はちゃんと、強くなりたいんだよ」
「うーん」
「何してる」
「何って・・・・あ」
突然掛けられた声に、一拍遅れて振り向いて、レックは間抜けな声を零した。仲間になって日が浅いが、確かに新しいパーティメンバーになったテリーがレックの背後に音も無く来ていたからだ。
片手に紙袋を抱えていて、どうやら自分に必要な備品を買って来ていたらしい。レックが買出しにきていたものは、保存食や薬草などのパーティに必要なものばかりなので、他のメンバーは宿屋などで好きに羽を伸ばしているはずだ。レックが宿を出た後に、テリーもミレーユなどから小遣いでも貰ってこの街道へ来ていたのだろう。レックとは違い、今も腰から愛用の剣を引っさげている。その真剣に目をやって、少年はうわぁ、と感嘆の声を上げた。
「買い物が済んだらさっさと戻れって言われてただろう。帰るぞ」
「なっ、なぁなぁ待ってくれよお兄さん!俺に、俺に剣の使い方教えてくれよ!」
すぐにその場を立ち去ろうとするテリーの腕にしがみ付き、少年は今度はテリーに標的を移したらしい。間近で見た真剣に釣られたようだ。テリーはぴたりと足を止めると、くるりとその場で反転して、シニカルな笑みを浮かべて少年を嘲笑った。
「剣の使い方?そんな棒で友達でも打ち据える気か?俺に剣を習いたいなら鋼の剣持って俺に決闘でも申し込みに来い。お前みたいに前も後ろも何も見えてない子供に教えることなんて一つも無い」
「おいテリー」
「行くぞ、レック」
手厳しい言葉をさらりと吐いたテリーを止めようと身をのり出したレックの手首を掴み、テリーは無理やりに人ごみから抜けた。少年の姿はあっという間に見えなくなり、道の端をテリーに片手を掴まれたまま、レックは引き摺られるように歩く。
「いって・・・!おいテリー、今のはいくらなんでも酷いだろ」
「酷くない。ああいう馬鹿みたいな考えをする子供にはお灸が必要だろ。もっと自分をとりまく環境に感謝するべきだ。・・・・・・お前も、あんな手合いに関わるな。面倒なことになる」
「んなこと言っても、」
突然、背後の人ごみから少年の泣き喚くような声が上がった。ぎょっとして身を竦めるも、テリーは無視をしてとにかく歩き続ける。レックは首だけで背後を振り向くが、少年の姿は人ごみで見えない。
「テリー、手離せ」
「嫌だ」
「テリー!」
「なんだよ」
観念して、テリーはすっと振り向いた。しかし、予想に反してレックはずいっと体をテリーに近寄らせて、至近距離に顔を近づけていた。目を丸くしてレックの瞳を真正面から受けて、テリーは思わず、微かに後ろに引いた。
「言うことを聞いてくれ」
レックの目は、戦うときよりは穏やかで、闘う時と同じほど熾烈な光を宿していた。目が離せなくなる。低く、囁かれるような言葉には逆らえない強さがあった。れっく、と小さくテリーが喉奥で鳴いた。体の力が抜ける。レックは素早くテリーの手を解かせて、さっと身を翻し、再び人ごみの中に戻って行った。
しばらくして、子供の泣き声が止む頃、じっと立ち尽くすテリーの元に、レックが何事も無かったかのように戻ってきた。
「・・・どうした?」
「何も。お母さんを大切にしろよって言ってきただけ」
テリーは内心舌を巻きながら、レックがそう言って笑うのをぼんやりと見つめた。さっきの子供も、俺のようにこいつにあっさりと言いくるめられて、気がつかないうちに教え込まれてしまう、とテリーは思った。
レックは今度は逆に、帰ろうと優しく言って、テリーの腕を掴んで人ごみから抜けた。子供が持っていた棒切れはいつの間にか道端に捨てられていた。